三柱鳥居
神曰く、この世は五の原に分かれるという。
最も貴き神のみおわす、天津原。それを主宰(しめしろ)しますは、天津柱主宰大神(あまつはしらしめしろす大神)。この神、すべての神の祖なり。天津原に縁あるものを治めるなり。
天津原に最も近き、高津原。これを治めるは、日照尊大神(ひてらすみことおおかみ)。日を司り、天津柱主宰大神を代弁する柱なり。この柱、姫神なり。
三の原は夢の原。人が住まう、泡沫の原なり。此の原、日照尊大神が裔なる大王家が収めるべき原なり。
四の原は坂津原。過ぎ去りしものを清め、夢の原に戻す原なり。此の原、猿道彦神(さるみちひこのかみ)がおわす原。この柱、幽冥主宰大神(かくりことしめしろすおおかみ)の忠臣なれば、この原にて、かの大神の代わりに命を全うするという。猿道彦神の許しなくば、我らこの原ふさぐ、国津扉を超える事能わず。
最後の原は、黄泉原。坂津原と合わせて、幽冥主宰大神の治める原なり。この神、元は国津柱の長なれど、日嗣の孫に長の地を譲りけり。その後、幽冥治める神となりける、国津柱一の神なり。この神の主宰します原は、上の原に戻る事能わぬもの、戻してはならぬものを封印す。故に、大神御自ら、坂の門たる天津扉を護るという。
心せよ、天津扉の向こうには、数多の穢れが住むという。故に八雲の民よ、幽冥主宰大神を称えよ、祭れよ。
この神、幽冥(かくりこと)より、千代に八千代に守る夢の原を大神ゆえに。
――『神柱縁起』冒頭より抜粋
そんな神話の生きる琶国の一地方、幽冥主宰大神を祀る、八雲地方の3人の子供のお話し。
登場人物
ユウ | 藤村かのざ | 琴 |
季守 | 蛇殿 | |
幽冥主宰大神 | 天照尊大神 | 天津柱主宰大神 |
本編
序章 雪の日